オートノミートレーニング研修会のご案内
第26回日本サイコオンコロジー学会総会(2013年9月、大阪)において、グロッサルト=マティチェク氏がオートノミートレーニングに関する講演を行いました。その後同学会会員より寄せられた要望に応えるべく、下記の要領で日本人向けの研修会を企画しました(会員以外の方もご参加いただけます)。この研修会と対になる第2回研修会を日本で実施し、これら2回の研修会を含む養成プログラムによって、ドイツ語圏以外では初となる“認定トレーナー”の取得を目指します。開発者自身による直接の指導を受ける貴重な機会です。専門家による日独通訳もつきますので、奮ってご参加ください。
第17回研修会(グロッサルト研修会:2024.10.25―27, ドイツ・ハイデルベルク & Web)
第16回研修会(Grund編:2024.3.9―10, 京都)
- 要項はこちら
第15回研修会(グロッサルト研修会:2023.7.23―25, ドイツ・ハイデルベルク & Web)
第14回研修会(Grund編:2023.3.4―5, 東京)
第13回研修会(Grund編:2021.3.13―14, Web & 京都)
第13回研修会はオートノミートレーナー育成のためのプログラム「研修会Grund(基礎)編」として2日間で開催されました。初めての試みとしまして、covid-19感染予防に配慮しながらの現地とWEBの同時開催、ハイブリッド形式の研修会スタイルでした。WEB参加者の方が積極的に参加していただいたこともあり、現地からは、WEB参加者も同じように席を共にしているような感覚で研修が行われ、今後、ハイブリッド形式の研修スタイルの可能性を感じました。
参加者の感想より(一部抜粋)
- 星和書店の書籍を読んでいたこともあり、様々なセッションの要素を実際に見ることができ、オートノミートレーニングではどう介入していくのかがイメージができてきたように感じた。
- リアルな場で、深く貴重な学びができた。
- 自分がトレーナーとしてできるか自信はない。
- 皆さまの暖かいコメントが心にしみました。
- 完全に理解できているわけではないが、研修会で疑問に思ったことについては解消できた。
- 講義、およびビデオ学習とセッションごとの解説がとてもわかりやすかった。
- 概念や具体的な各ステップについてかなり理解が進みました。 具体的な点の見つけ方をより高めていくための学ぶことのできる技術としてどういったものがあるのだろうかと思いました。
- トレーナーの力量に差があるように感じた。オートノミー効果の臨床データーが集まり、開発者グロッサルト氏が本質として伝えたい事を正確に伝え、日本流のオートノミーが活用される時が来る事を期待します。
- クライアントが考えたこと、感じたことをもとにして、トレーナーが予断するのではなく、本当はどうしたいのかを聴いて、本人のペースに合わせて進めていくことが大事だと感じました。
- 講義に加えて、セッション毎に解説があり理解が深まった。
- セッション後、セッションで話した内容より日を追うごとに自分の自信が戻って来たように感じています。
第12回研修会(グロッサルト研修会:2019.9.20―22, ハイデルベルク)
第11回研修会(Grund編:2019.2.10―11, 京都)
第10回研修会(グロッサルト研修会:2018.8.3―6, ハイデルベルク)
ハイデルベルクでの開催が6回目となる第10回研修会は、夏休み時期に設けたことで、ドイツの大学教授2名と、グロッサルト氏の研究のアシスタントをされていたご経験のある小学校教諭1名が3日間及び4日間参加され、共に学ぶ機会を得ることができました。
日本からは、医師2名、カウンセラー4名、看護師1名、鍼灸師1名、養護教諭1名の参加でした。セッションではドイツ人参加者3名が被験者を快く引き受けて下さったり、積極的なコメントをしてくださったりと、今までとは違う学びの場となりました。
今回はグロッサルト氏によるオートノミートレーナー認定を2名、スーパーバイザー認定を1名が受けることができました。
第9回研修会(グロッサルト研修会:2017.9.16―19, ハイデルベルク)
ハイデルベルクでの5回目の開催となった第9回研修会は、二期生(2名)・五期生(1名)・六期生(2名)に、オブザーバー参加者3名と世話人2名、それにドイツ人オブザーバー2名を交えて開催されました。合計12名の職種は医師5名、カウンセラー4名、看護師1名、鍼灸師1名、大学教員1名、居住地は関東4名、近畿3名、九州3名、ドイツ2名でした。講師はR. グロッサルト=マティチェク氏、通訳はT. ヴィンシャーマン氏でした。
今回は、比較的少人数であったことから、まず面接セッションに十分な時間をとることができ、2日間に渡って行われた面接も複数ありました。そして、討論や質疑応答はこれまで以上に深いレベルに踏み込んだものとなりました。そのうえで、新たに3名が新制度トレーナーG級の要件であるグロッサルト氏による認定を受けることができました。
参加者の感想より
- トレーナーにまず必要とされるのは特別なスキルではなく、むしろクライアント一人一人にしっかり寄り添い、共同作業の中で、一緒に中核的な問題を探していく姿勢なのであって、これがあれば時間はかかっても解決法を探し出すことができるかもしれないと思えた。
- 今回の研修を通して、オートノミートレーニングに対する知識や理解が不足していたことに気づかされたが、同時に積極的にクライアントに当たっていくことへの意欲も高まった。さらに、改めて自分自身と向き合い、自分のオートノミー性を高めることこそが、良いトレーナーへの最も確実な一歩になると感じた。
- とても充実した時間を過ごし、貴重な学びがたくさん得られた。とりわけグロッサルト氏のセッションやスーパーバイズを直接見ること、自身がクライアントやトレーナーを体験することを通して、クライアントが何を求めているのかを共感的に理解しながら、クライアントのオートノミー性を信じ、尊重することの大切さや意味を学べたように思う。そして、クライアントのオートノミーを信じ、尊重し続けるには、トレーナー自身に高いオートノミー性が求められるように感じた。
- 不完全なままセッションをまとめてしまおうとしたところ、グロッサルト氏に不十分さを指摘された。しかしそのおかげで最後までやる覚悟が固まり、翌日のセッションでは粘り強くやることができた。オートノミートレーニングはメソッド集ではないため、トレーナーの総合的な力が本当に試されると実感した。仮説の提示が必要なため、知的な力量も重要だが、相手から話を引き出す人間力も求められると感じた。
第8回研修会(Mittel編「移行措置特別版」:2017.7.22―23, 京都)
第8回研修会は、オートノミートレーナーの新たな育成プログラムにおける「研修会Mittel(中級)編“移行措置特別版”」として開催されました。Mittel編の主要テーマである、①基本スタンスと情報収集、②情報の分析、仮説・解決策の提案、効果の検討、および③パーマネント・オートノミートレーニングを2日間に詰むという、多少の無理を覚悟したプログラムでしたが、講師・参加者の熱意により充実した研修になりました。参加者は今後更なる研鑽を積み、「オートノミートレーナーM級」取得を目指します。
第7回研修会(Grund編:2017.3.4―5, 京都)
第7回研修会は、オートノミートレーナーの新たな育成プログラムにおける「研修会Grund(基礎)編」として開催されました。同時に、グロッサルト氏を招聘せず、日本人講師のみで開催する初めての試みとなりました。逐次通訳が不要であるため、会期を2日間に圧縮してプログラムが組まれました。参加者は2期生(2名)・5期生(3名)・6期生(8名)の13名で、1期生5名が講師を担当しました。合計18名の職種は医師7名(内科4、精神科1、耳鼻咽喉科1、小児科1)、カウンセラー5名、看護職3名、教員2名、鍼灸師1名、居住地は関東2名、中部3名、近畿8名、九州5名でした。
グロッサルト氏のいない研修会場に一抹の淋しさを感じないといえば嘘になりますが、一方で、その大きな穴を埋めようとする講師陣と、これに呼応して学び取ろうとする参加者ら双方の熱気に溢れ、またそのような中で心温まる面接セッションの数々を共有する会となりました。
参加者の感想より(6期生のみ)
- セッションがオートノミー「トレーニング」であること、トレーナーとクライアントの「合意」に基づき進められることを再確認し、やはり良いなと思った。(2つの会場に分かれる時間帯があり)他会場でのセッションが見られなかったことはとても残念だった。
- 多くの面接の中でクライエント役の表情がみるみるよくなり、晴れ晴れとしてくる様子が観察できた。言葉を丁寧に使い、無理をしないでクライアントのペースで、気づきが得られるように丁寧に仮説を提示したり確認したり、そして何より、徹底してクライアントを信頼する姿勢のすばらしさを学んだ。
- グロッサルト氏(動画鑑賞)や講師による面接セッションを見て、「ながい目で見て幸福か」という観点が理解できたように思う。何よりも、研修会の雰囲気、参加メンバーに安心感を感じた。
- 自らクライアント役を経験したことは、これまでの自分を振り返り、今後の人生の進み方について腑に落ちるところとなり、ある意味で人生の節目の出来事となった。
- 講義で基本事項を確認したうえで面接を見たため、手順や基本的に大事にすべきところが理解しやすかった。研修会の後、日常生活を送る中で自分自身のオートノミー性と他者依存性に気づきがあり、オートノミートレーニングに対する興味がますます強くなっている。
- 初参加だったが、温かい雰囲気の中、安心して発言できる場だと実感できた。クライアント役の経験では、今まで考えたこともなかった気付きが得られた。その後の生活の中で、以前よりも自信を持って堂々と意見を言えるようになっている。
第6回研修会(一期~五期生合同:2016.7.16―19, ハイデルベルク)
ハイデルベルクでの4回目の開催となった第6回研修会は、一期生(1名)・二期生(4名)・三期生(1名)・四期生(1名)に新たな参加者である五期生(8名)の15名、それにオブザーバー参加者2名と世話人2名(いずれも一期生)を交えて開催されました。合計19名の職種は医師9名(内科4、精神科2、産業医2、総合診療科1)、カウンセラー8名、看護師1名、鍼灸師1名、居住地は関東4名、中部6名、近畿6名、九州6名でした。講師はR. グロッサルト=マティチェク氏、通訳はT. ヴィンシャーマン氏でした。
今回は、ほぼ全ての時間を面接セッションと討論に充て、時間割も設定しないゆったりとしたプログラムで臨みました。結果的にセッション数は8回と前回よりもさらに減りましたが、その分討論や質疑応答に十分時間をかけ、理解を一層深めて共有することができました。そして、新たに3名がグロッサルト氏によるトレーナー認定を受けました。
参加者の感想より 参加者のレポート
- オートノミートレーニング(以下、AT)ではどんどん仮説を提示していき、クライアントが符号点に至る、あるいは符号点に近づいているかどうかというフィードバックを受けて、随時仮説を修正し、提示していく。その点において、問題に関する仮説を生成する際の自由度が高いように感じた。
- アンビバレントな関係にある感情を認めるというATの手法は、偏った感情のバランスを正常化するものであると感じた。漢方(医学)にも偏ったバランスを治すという考え方があり、ATとの共通性を感じた。
- トレーナーとの対話が進む中でクライアントの心が開いてゆき、クライアント自ら符号点へ到達していくゆくプロセスを目の当たりにすると、技法よりも「プリンシプル」、つまりクライアントを深く信頼し、承認することこそ大切ではないかと感じた。
- ハイデルベルクを訪れることで雑多な日常から切り離され、自分の過去の記憶や無意識と対話することができた。精神分析や行動療法、その他の療法が見事に融合して短期的に真の問題解決に至るというATは、もっと学ぶ人が増えて然るべきだと思った。
- (クライアントを経験して)トレーナーから、自分では思いもよらなかった方向からの質問があり、驚くと同時に、それまでバラバラだと感じていた自分の問題がつながり、中核的な気づきに至ることができた。今後の自分の生活や臨床にとってとても大切な体験となり、またトレーナーによるクライアントへの深い感情移入がいかに重要かということを身をもって理解できた。
- クライアントが自ら重要な気づき、符号点へと到達するための質問方法、(必要に応じて)無意識に問いかける方法を学ぶことが出来たので、今後は特にそこを鍛えていきたい。クライアントが本当に求めていることは何かをしっかりとらえることの重要性を再認識した。
- 仮説の立て方やトレーニング方法の提案など、トレーナーには幅広い知識とセンス、根底にある人間力が必須であると感じ、一筋縄では進まないことも痛感した。素晴らしい手法であるが故に、「限られた人」ではない「一般の人」が理解でき、実践できるようになるためには、もう少し体系立った整理が必要であるとも思った。
- クライアントが主体となって中核的な問題を見いだし、解決策を探る、その過程を対等な立場で支援するATの原則は、考えてみれば当然のことかもしれないが、開発から数十年を経た現在でもとても新鮮なものに感じた。一朝一夕に修得できるとは思わないが、いくつかの典型的パターンを学習し、経験を重ね、いずれ自分なりのATができるようになりたい。
- とても深い学びになったのは、クライアントの無意識の層に抑圧された葛藤と共に、クライアントが持っている真の欲求を意識化し、それを現在の意識と統合するダイナミックな手法であった。その結果自分の真の欲求を満たしながら快と幸福に舵を取れることは、一生の宝になると感じている。
第5回研修会(一期~四期生合同:2015.09.20―09.23, ハイデルベルク)
ハイデルベルクでの3回目の開催となった第5回研修会は、一期生(4名)・二期生(4名)・三期生(1名)に新たな参加者である四期生(3名)を交えて開催されました。合計12名の職種は内科医4名、精神科医6名、麻酔科医1名、カウンセラー1名、居住地は関東2名、中部4名、近畿2名、九州4名でした。講師はR. グロッサルト=マティチェク氏、通訳はT. ヴィンシャーマン氏でした。
今回は、3日目の午前中を休養&自由時間に充て、講義は1つのみとし、他の時間はほぼ全てを面接セッションと討論に充てました。始めての試みとして、日本人ボランティア・クライアントにご協力いただいて実施しました。いずれも印象深いセッションであり、参加者にとっては一層新鮮な学びの機会となりました。欧州滞在中に遠路ハイデルベルクをお訪ねいただいたお二人には、改めて感謝します。セッション数は合計で9回とやや少なめでしたが、討論に十分な時間をかけたことで、数々の疑問点を解消し、さらに理解を深め、共有することができました。そして、新たに4名がグロッサルト氏によるトレーナー認定を受けることができました。
懇親会は、会場となった郊外の修道院までミニ遠足となりました。院が経営するビール醸造工場に併設されたレストランで、美味しいビールと新鮮な魚料理を楽しみました。
参加者の感想より
- ATではあくまでもクライアントが認識するテーマで対話を進めるのであって、クライアントが認識できないか抵抗を感じるような無意識の領域は扱わないということを改めて理解した。
- これまでは慢性的な苦悩を受容するという治療を行ってきたが、これからはATを用いて、快志向の行動を喚起する観点を加えてみたい。
- セッションを観察する中で自分なりに力動的理解やトレーニング方法を考えておき、討論の中でトレーナーの理解とすり合わせる作業を行うことが、とても面白く感じられた。
- トレーナーとの相互作用によって生じる心情の変化について、セッション後の討論の際にクライアント自身から直接情報が得られることによってよく理解できた。そのようなセッションを集中的に経験することによって、短期間で面接能力を向上できるように思う。
第4回研修会(一期・二期・三期生合同:2015.04.30―05.03, ハイデルベルク)
ハイデルベルクでの2回目の開催となった第4回研修会は、一期生(6名)・二期生(3名)に新たな参加者である三期生(3名)を交える初の試みとなりました。合計12名の職種は内科医4名、精神科医2名、麻酔科医1名、産業医1名、カウンセラー3名、看護師1名、居住地は関東2名、中部2名、近畿4名、九州4名でした。第1回研修会と同様に、講師はR. グロッサルト=マティチェク氏とB. ゴディーナ氏、通訳はT. ヴィンシャーマン氏にお願いしました。このほかドイツ人のオブザーバーが合計6名参加しました。
2つの講義以外の時間は、ほぼ全てを個人面接療法セッションと討論(合計11回)に充てました。三期生は主にクライアント役を、二期生はクライアントおよびトレーナー役を経験し、一期生はスーパーバイズにも挑戦しました。新たに3名がグロッサルト氏によるトレーナー認定を受けることができました。
今回は、予習会(4月19日、京都)で基礎知識を整理して共有し、参加者同士の懇親をはかったうえで研修会に臨んだこと、および日本人同士の対話に同時通訳を導入したことにより、限られた研修の時間をより充実したものにすることができました。
参加者の感想より
- (クライアント経験では)トレーナーの基本姿勢が肯定であり、葛藤状況が肯定されることによって、ひとつ上の次元にすっと統合されていく体験ができた。(トレーナー経験では)聞きすぎない、掘り下げすぎないことに留意して臨んだ。主題が何であるかを見抜くことができるように感情や考えを観察していくことが今後の課題となった。
- (クライアント経験において)符号点に達した時、それまでの対話とは違う、身体が温まり、トレーナーに包まれたような感覚を得たことがとくに印象的であった。
- ハイデルベルクという歴史ある街で濃密な時間を過ごし、「命」「生」「愛」「人」「家族」と自身を振り返る良い機会となった。人間の本質に目を向け、真摯に取り組むグロッサルト氏の姿勢に心を打たれた。
- 最初の研修ではトレーナーになる自信が持てなかったが、その後の勉強会を経て今回の研修会に参加し、本療法の核となる考え方や理論がより明確になった。中心的な基盤さえしっかりしていれば、各トレーナーなりの、あるいは各トレーナーらしい介入が可能であるということを学ぶことができた。
- 研修会参加を重ねるにつれてクライアントの感情により敏感に反応できるようになり、面接技術が向上してきたことを実感している。
- クライアント役、トレーナー役、スーパーバイザー役としてセッションを体験し、そのうえで参加者・講師間での弁証法的な討論を通じて振り返るスタイルは、参加者のセルフレギュレーションを高め、理解を促進する手法として有効であると認識した。
- 転移をトレーナーが引き受けるのではなく、クライアント自身で転移状況を乗り越えていく力があることを承認し、トレーニングを提案していくことで符号点に到達し得るということを学ぶことができた。
- セッションの対話を聞きながら伴走して着いていき、次の問いかけや符号点への至り方、話の深化の仕方、どこに焦点を当てるのか、どこを取り上げるのか等、考えながら学ぶことがとても楽しく、充実した時間に感じられた。
第3回研修会(二期生向け:2014.09.20―23, 福岡)
新たな参加者(二期生)を主な対象とした第3回研修会は、第2回研修会と同様にR. グロッサルト=マティチェク氏を講師、T. ヴィンシャーマン氏を通訳として福岡で開催されました。二期生が17名(内科医7名、精神科医3名、産業医1名、心理士3名、看護師1名、管理栄養士1名、疫学者1名)、これに一期生1名が加わり合計18名が関東(5名)、中部(6名)、近畿(3名)、九州(4名)から参加しました。
主な内容は、3つの講義(質疑応答を含む)と12回の個人面接療法セッション(グロッサルト=マティチェク氏が治療者役、参加者がクライアント役)と討論でした。心理療法の講習会への参加が始めてという方も複数あり、最初はやや緊張し、遠慮がちな雰囲気もありましたが、最初の面接セッションを契機に緊張が緩んでからは議論も活発になり、密度の濃い4日間となりました。
本研修会修了者の多くは、2015年5月に計画されている第4回研修会(ドイツ・ハイデルベルク)に参加する予定です。
参加者の感想より
- ATとの出会いが自分にとっても人生の一つの転機になるように感じている。クライアント体験を通じて、「ある領域で問題解決があると、別の領域でも解決が汎化していく」ということを納得し、それが自分にとって強い希望となっているように思う。
- クライアント体験の中で幼少期の体験からアセスメントを受けた際、鳥肌が立つのを覚えた。あれがクライアントが体験する符合点なのかなと思った。
- クライアントとしての体験の後、ATの効果はセッションが終わってからもずっと続いていくものなのだということを実感している。
- 胸が温かくなり、肩の凝りがほぐれ、リラックスできた。RCTが不要であると錯覚する程、この体験は本物だと認めざるを得なかった。
- 研修会の後、よい睡眠がとれるようになった。復習としてテキストを読むと、同じ文でも違っていることを不思議に感じている。
- 大変刺激的な4日間であった。日常を離れた時間と空間の中で日ごろ使わない神経?脳?を稼働したためか不思議な感覚が続いている。
- グロッサルト氏のセッションには、技術もさることながら、温かさを感じる。そのような温かさや愛情が自分に宿るように、学んだトレーニングを続けていきたい。
- クライアントとの対話を経て、本人の様子を見ながら今後の方法論を押し付けない形で提示するやり方が印象的であった。
- 治療者自身が話す場面が多い点など、現在自分が実施している治療法と似ているところが多いと感じた。一方、必ずしも精神症状が強く出ている人が対象の主流ではないということは、異なる点の一つであるかもしれない。
- 様々な精神療法は、互いの領域がオリンピックの五輪のようにある程度重なっているように思うが、それぞれの輪が重なる部分を合わせるとATに近いものになるような印象を受けた。この解釈の真偽について、今後研鑽を重ねる中で引き続き吟味していきたい。
- ATは、私の知る他の心理療法と比べてクライエントの知性にアプローチするところが多いと感じた。もちろん気持も受け止めるのだが、どうなりたいか考える部分を支えるところがとても印象的であった。
- 様々な行動や生活習慣のもとになっている根本的な課題を焦点化し、一度の介入で解決をはかるというのは、とても画期的なことだと思った。
第2回研修会(一期生向け:2014.09.13―16, 福岡)
R. グロッサルト=マティチェク氏を講師として福岡に招いた第2回研修会には、第1回研修会に参加した一期生12名全員が参加しました。日独通訳は、第1回に続いてT. ヴィンシャーマン氏が担当しました。
主な内容は、12回のスーパービジョン・セッション(治療者役、クライアント役とも参加者、グロッサルト=マティチェク氏が指導者)と討論でした(詳細はプログラムを参照)。参加者の全員がクライアントと治療者の双方を経験しました。また、これらのセッションでの対話、セッションに際して行われた質疑応答、討論における質疑応答等が、講師による「認定トレーナー」評価の対象となりました。その結果、12名全員がトレーナーとしての認定を受けることができました。
これから研修修了者は事例の経験ならびに勉強会での研鑽を積み、トレーナーとしての技量と資質の向上に努め、また学んだ知識を研究に活かしてゆく予定です。また一部は、今後さらに「認定指導者」を目指す予定です。
参加者の感想より
- 研修会で多くの事例を経験することで、クライアントの感情と認知が何にコントロールされているのかを立体的に見る力が習得できた。
- (事例の経験において)なかなかうまくいかなかったのは、分析や符合点を意識しすぎて力んでいたからだと気づいた。研修中に多くのセッションを見る中で、しだいに自分がトレーナーならこういうアプローチを考えるという自分なりのアイデアが自然と湧き起こるようになり、今後の活動についての大きな自信につながった。
- 各参加者の能力が短期間で格段に向上していたことに驚いた。クライアントと相談しながら問題解決を図るというATの考え方を活かすようになってから、治療に際して感じがちであった焦りや苦痛が軽くなっている。
- 参加者全員で「相互作用的な場」を創造するという感覚を、ハイデルベルクと同様に福岡の会場でも感じた。クライアントと協働して創造的な解決へと至るためには、トレーナー自身がリラックスすることが重要だと分かった。
- (初回研修の後)クライアントとの対話が増え、より深く理解しようとする姿勢が身についてきた結果、より多くの解決策を提案できるようになっている。その分だけ、トレーナーとしての自分に余裕が生まれてきたように思う。リラックスし、ともに考えていくというトレーナーの姿勢が、創造的な雰囲気を作り出し、符合点へと至る道筋をつけるのだと思う。
- あっという間の4日間であったが、今回はいくつか事例を経験して臨んだこともあり、自分の中で腑に落ちるような、より充実した研修となった。トレーナー自身のオートノミー性がセッションの土台となるのだと分かった。
- 参加者からの一つの意見には対立意見が出て弁証法的プロセスが生まれ、それが各人のセルフレギュレーションを刺激する。その意味で、参加者全員で集団的オートノミートレーニングを実践したかのような印象を持った。
- 今回の研修で自らの「快」がさらに向上し、帰宅した際に家族から「顔が全然違う」と言われた。初回研修後に生じた多くの疑問が解決する一方で、ATをトレーナーとしての自分にいかに統合するかが極めて重要であることを改めて認識した。
- トレーナー自身がトレーニングを続ける必要があるという考えを素直に理解できたことで、自分の今後の人生が一体どのように変化していくのか楽しみに思うようになった。
- (初回研修の)クライアント体験を経て、自分自身の中核的な問題を自ら解決できるようになり、感情に大きな変化があった。治療者として、以前と比べてはるかに短時間でクライアントに変化をもたらす効果に驚くとともに、自らクライアントを経験することの重要性を強く感じた。
- (初回研修後に)自分自身について考えてみたところ、アンビバレントな感情が残る対象の存在に気づいた。これを解決するトレーニングを試みた結果、元気になるのが分かり、長く忘れていた基線に戻ったような感覚を得た。
第1回研修会(一期生向け:2014.05.02―05, ハイデルベルク)
2014年5月2日~5日の4日間、ドイツ・ハイデルベルクのZMF研究所において第1回オートノミートレーニング研修会が開催されました。講師はR. グロッサルト=マティチェク氏およびB. ゴディーナ氏、日本からの参加者は12名(内科医2名、精神科医4名、産業医1名、産業カウンセラー4名、疫学者1名)、関東、中部、近畿、九州からの参加でした。これに、ドイツ人のクライアント1名、およびオブザーバー参加者3名(内科医1名、精神科医1名、スポーツ・インストラクター1名)が加わりました。講演、指導はドイツ語で行われましたが、優秀な通訳のおかげで円滑に研修を進めることができました。
主な内容は、4つの講義(質疑応答を含む)、8つの個人面接療法セッション(グロッサルト=マティチェク氏が治療者役、参加者がクライアント役)と討論、および2つのスーパービジョン(治療者役、クライアント役とも参加者、グロッサルト=マティチェク氏またはゴディーナ氏が指導者)と討論でした(詳細はプログラムを参照)。参加者のほぼ全員がクライアントまたは治療者役を経験しました。
会場は、テキストを読んで生じた疑問を解消し、少しでも多くを学び取らんとする参加者、理論や治療の奥義を伝えんとする講師双方の熱意に溢れ、議論は白熱し、瞬く間に過ぎた4日間となりました。ドイツ風に十分時間をとった昼食や、散歩ツアー、夕食会・お別れ会等を通じて講師・通訳者および参加者間の親交を深めました。
これから参加者は各自で、あるいは当研究会主催の勉強会を通じて研鑽を積み、2014年9月に計画されている第2回研修会(福岡)に臨む予定です。
参加者の感想より
- 本による学習では決して得られない、"感情移入、相互信頼感、人間同士の基本的な信頼関係に基づく心的交流"、などの実際的機能を肌で感じることができた。二回の研修ですぐに優秀なトレーナーになれるとは思わないが、オートノミートレーニング(以下、AT)の姿勢を日々の臨床場面で発揮することを考えながら、次回の研修会に備えたい。
- "夢のような"有意義な研修に参加できたことを大変喜んでいる。(帰途にて)テキストを読んだところ、出発前とは理解の度合いが全く異なることに驚きつつ、渡独したことに大いに意義があったことを感じた。この体験は一生ものと思われる。
- (参加者の)素晴らしい人柄や多様な専門性からエネルギー・知識・気づきをたくさん得て、非常に気持ちのよい状態で仕事が出来ている。
- (クライアント役を経験して)感情が満ち溢れている感覚があり、絶対に変われるという実感がある。分析が的確で、自分が理解されているという感覚を持った。押しつけられている感覚は一切なかった。今後日本でこの治療を拡げるべき―結論としてそう思う。
- (参加の是非を)直前まで迷ったが、今では参加できたことが一生の思い出となった。(個人面接療法セッションを通して)各参加者の現在の困難についての真剣な語りと、幼少期の父母との関係との聴き取りから、現在の快行動を求めることに対する制止を解くための行動上のアドバイス、関係者に対する愛と罪悪感をそのままに認め、直接にも対象関係の中でも伝えるトレーニングをすることでアンビバレンスを緩和できることが理解できた。
- (対話中のグロッサルト氏を観察することにより)氏の非言語的な振る舞い、目の動きや手の動き等はとてもよく観察できた。全人的に受け止める包容力の大きさを感じとることができた。この研修会に参加し、自分の中の何かが目覚めるのを改めて感じた。
- (クライアント役を経験して)グロッサルト氏とのセッションの影響は、受けた直後より、徐々に自分の中で大きくなってきている。自分自身の生活、仕事に素晴らしい影響を与えたと感じる。難解と感じていたテキストも、より具体的なイメージを持って読めるようになり、本治療法への理解も、研修中よりも増して帰国後にじわじわと深まってきている。
- 涙なしには過ごせなかった濃厚な4日間であった。グロッサルト氏から直接指導を受けられる貴重な機会をこのメンバーで過ごせたことを大変嬉しく思い、今後日本でも一歩ずつ共に研究を進めていけたらと考えている。
- とてもインパクトのある研修であり、帰国後の今なお強い余韻を残している。書籍での理解を遥かに凌駕する実践的な研修の中、頭での理解と五感を通じて心と体に染み込んでくるATの神髄(幸福・快・安定)を堪能した4日間となった。この貴重な体験を少しでも多くの人に経験してもらい、同じ志を抱きながら共に活動できる人の輪が拡がることを希望する。