一般社団法人 日本オートノミー協会 ―「自律性」を手がかりに個人や組織の健康を目指す―

会員専用ページ

第1回研修会(一期生向け:2014.05.02―05, ハイデルベルク)

 2014年5月2日~5日の4日間、ドイツ・ハイデルベルクのZMF研究所において第1回オートノミートレーニング研修会が開催されました。講師はR. グロッサルト=マティチェク氏およびB. ゴディーナ氏、日本からの参加者は12名(内科医2名、精神科医4名、産業医1名、産業カウンセラー4名、疫学者1名)、関東、中部、近畿、九州からの参加でした。これに、ドイツ人のクライアント1名、およびオブザーバー参加者3名(内科医1名、精神科医1名、スポーツ・インストラクター1名)が加わりました。講演、指導はドイツ語で行われましたが、優秀な通訳のおかげで円滑に研修を進めることができました。

 主な内容は、4つの講義(質疑応答を含む)、8つの個人面接療法セッション(グロッサルト=マティチェク氏が治療者役、参加者がクライアント役)と討論、および2つのスーパービジョン(治療者役、クライアント役とも参加者、グロッサルト=マティチェク氏またはゴディーナ氏が指導者)と討論でした(詳細はプログラムを参照)。参加者のほぼ全員がクライアントまたは治療者役を経験しました。

 会場は、テキストを読んで生じた疑問を解消し、少しでも多くを学び取らんとする参加者、理論や治療の奥義を伝えんとする講師双方の熱意に溢れ、議論は白熱し、瞬く間に過ぎた4日間となりました。ドイツ風に十分時間をとった昼食や、散歩ツアー、夕食会・お別れ会等を通じて講師・通訳者および参加者間の親交を深めました。

 これから参加者は各自で、あるいは当研究会主催の勉強会を通じて研鑽を積み、2014年9月に計画されている第2回研修会(福岡)に臨む予定です。

参加者の感想より

  • 本による学習では決して得られない、"感情移入、相互信頼感、人間同士の基本的な信頼関係に基づく心的交流"、などの実際的機能を肌で感じることができた。二回の研修ですぐに優秀なトレーナーになれるとは思わないが、オートノミートレーニング(以下、AT)の姿勢を日々の臨床場面で発揮することを考えながら、次回の研修会に備えたい。
  • "夢のような"有意義な研修に参加できたことを大変喜んでいる。(帰途にて)テキストを読んだところ、出発前とは理解の度合いが全く異なることに驚きつつ、渡独したことに大いに意義があったことを感じた。この体験は一生ものと思われる。
  • (参加者の)素晴らしい人柄や多様な専門性からエネルギー・知識・気づきをたくさん得て、非常に気持ちのよい状態で仕事が出来ている。
  • (クライアント役を経験して)感情が満ち溢れている感覚があり、絶対に変われるという実感がある。分析が的確で、自分が理解されているという感覚を持った。押しつけられている感覚は一切なかった。今後日本でこの治療を拡げるべき―結論としてそう思う。
  • (参加の是非を)直前まで迷ったが、今では参加できたことが一生の思い出となった。(個人面接療法セッションを通して)各参加者の現在の困難についての真剣な語りと、幼少期の父母との関係との聴き取りから、現在の快行動を求めることに対する制止を解くための行動上のアドバイス、関係者に対する愛と罪悪感をそのままに認め、直接にも対象関係の中でも伝えるトレーニングをすることでアンビバレンスを緩和できることが理解できた。
  • (対話中のグロッサルト氏を観察することにより)氏の非言語的な振る舞い、目の動きや手の動き等はとてもよく観察できた。全人的に受け止める包容力の大きさを感じとることができた。この研修会に参加し、自分の中の何かが目覚めるのを改めて感じた。
  • (クライアント役を経験して)グロッサルト氏とのセッションの影響は、受けた直後より、徐々に自分の中で大きくなってきている。自分自身の生活、仕事に素晴らしい影響を与えたと感じる。難解と感じていたテキストも、より具体的なイメージを持って読めるようになり、本治療法への理解も、研修中よりも増して帰国後にじわじわと深まってきている。
  • 涙なしには過ごせなかった濃厚な4日間であった。グロッサルト氏から直接指導を受けられる貴重な機会をこのメンバーで過ごせたことを大変嬉しく思い、今後日本でも一歩ずつ共に研究を進めていけたらと考えている。
  • とてもインパクトのある研修であり、帰国後の今なお強い余韻を残している。書籍での理解を遥かに凌駕する実践的な研修の中、頭での理解と五感を通じて心と体に染み込んでくるATの神髄(幸福・快・安定)を堪能した4日間となった。この貴重な体験を少しでも多くの人に経験してもらい、同じ志を抱きながら共に活動できる人の輪が拡がることを希望する。